【走りながら痛みを改善する新メソッド ランニング障害改善BOOK 鈴木 清和 著】を読んでみました。
外反母趾でお悩みのあなた、スポーツはされていますか?私は、物心ついたときから、テニスを続けてきました。加えて、スポーツジムでマシントレーニングやエアロバイク、ランニングマシン。スタジオでのヨガレッスンなど、スポーツは生活の一部になっています。外反母趾があるからといって、インドア派とは限りませんよね。日本を代表する一流選手、例えばフィギュアスケートの小塚選手も、外反母趾で悩んでいると聞きました。
本書の著者、鈴木 清和さんは、駒澤大学駅伝部出身の、生粋のランナーであり、現在はスポーツマイスターズコアの代表で、体型別走法研究家と名乗っておられます。『最先端の医科学研究で、ランニング障害の根本的原因を発見し、各ランナーが自分で治せるメソッドを確立する』サポートを行なう『ランニング障害専門のパーソナルトレーニングが話題になり、日本全国から患者さんが集まる』そうです。
外反母趾からの足の痛みで、ランニングやその他のスポーツを諦めかけているあなた!この本が、起死回生のきっかけになるかもしれませんよ。
それにしても、『走って出た痛みは、走りながら改善しましょう!』これって、逆転の発想と言うか、すごいですよね。言い切れてしまうところに、鈴木さんの医科学的根拠による自信を感じてしまいます。
本書は、『ランニング障害の基礎知識』『正しいシューズの選び方』『症状別改善プログラム』の順を追って書かれています。
『症状別改善プログラム』は、実にシステマティックに組み立てられており、シューズを選ぶ→ケア(各障害ごとにコリ固まりやすい部分があるので、ほぐしておきます。)→ストレッチ(筋肉の中心部分を伸ばし、筋肉の端についている腱をむやみに伸ばさない特別な方法)→ドリル(頑張る筋トレではなく、弱い筋肉を掘り起こすように鍛えるドリルです。)→KCCランニング『痛みを改善するための、“毒のフォーム”』(医薬の原点である「毒を以って毒を制する」というコンセプトに沿い、あえて逆方向にストレスを掛けてニュートラルな位置を出します。さらに、使えていない筋肉にスイッチを入れ、全身を効率良く使った動きを引き出し、骨格や筋バランスの歪みの改善などにつなげる役割もあります。)
という流れになっています。つまり痛みを取り、自分だけの専用フォームを創り上げるのです。言葉で聞くと、とても難しそうに思えますが、図やイラスト、写真で詳細に説明されているので、鈴木さんの意図するところは、つかみやすいと思います。
まず、シューズの選び方で、なるほど!と思ったのが、素人の私などは、地面からの衝撃を、なるべく受けない方が良い=ソールは厚ければ厚いほど良いのではないか、と思ってしまいますが、鈴木さんは、ソールの厚い、いわゆるジョギング用として売られているシューズは、かかとが後方に張り出しており(確かにそうです!)、体型や走りに合わないほどかかとが張り出しているシューズで走ると、『つま先が勢い良く地面に向かって打ち付けられる力が生まれます。』つまり本来のスムーズな重心移動ができなくなり、結果、足への負担が増してしまうというのです。これは、目からうろこ!
さらに、シューレース(靴ひも)の通し方でも、走り方や、足の形(ハイアーチか、私のようなぺっちゃんこの足、ローアーチか)で全く変わってくるのです。『シューレースの通し方』に写真入りで載っていますので、是非参考にしてみて下さい。
そしていよいよ、外反母趾のための『症状別改善プログラム』です。ランナーの視点から考える外反母趾とは、『1.脛にある長腓骨筋が緊張する。2.ヒラメ筋が固まり、腓腹筋の力が抜ける。3.親指が外を向いてしまう。』というメカニズムになるそうです。聞きなれない筋肉の名称が出てきますが、巻末に図で開設されていますので、そちらを参考にして下さい。
そういえば、私も、外反母趾や靴下の専門家の先生に足をみて頂いた時に、「ヒラメ筋がすごく固いですねぇ!」と言われたことがあります。自覚症状は、全くありませんでしたが。ですので、鈴木さんは『いかにヒラメ筋の力を抜くか』にポイントを置いて改善していくそうです。この後は、実際に本書に目を通して、実践して頂きたいのですが、靴の選び方、足のマッサージなど、鈴木さん独特の方法なんですよ。『スクイーズ』というマッサージは、行なってみると筋肉や関節がなめらかに動き出すのを感じます。中でも、特筆すべきは、私達向けの走り方のネーミングなのですが…何と『マタニティ』!どのようなランニングフォームなのか、気になるでしょう?
他にも、『アキレス腱周囲炎のための走り方=フェンシング』だったり、『コンパートメント症候群のための走り方=能楽走り』だったりと、非常にユニークなネーミングが揃っています。遊び心も取り入れた、ランニングを楽しむための本書、ランナーのみならずジョガーも、必読ですよ!