【子どものスポーツ障害・外反母趾は『歩き方』で治る! 古屋 達司 著】を読んでみました。
先日に続いて、外反母趾研究所代表、古屋 達司先生の著書を読んでみました。今回は、子どもの外反母趾がメインテーマです。あなたのお子さんの足は、健康ですか?スポーツをしているからと言って、100%健康とは限らないそうですよ。足の痛みや変形に悩み、古屋先生の研究所を訪れるのは大人だけではなく、小、中学生も多いのだそうです。インソールを使っても駄目。整形外科を受診しても、親指のつけ根の角度が、外反母趾とみなすには無さすぎる、というだけで、湿布を貼って様子を見ましょう、と言われてしまい、さらに痛みが増してしまう、と言ったかわいそうな状態の子どもたち。その子たちに共通しているのが足指を使っていない『ペタペタ歩き』だったそうです。
『ある足の研究団体が幼稚園児293人を対象に足の調査をした報告では、「浮き指」47%、「内反小趾」70%、「外反母趾」4%と、多くの園児が足の変形を抱えていると指摘しています。』『このことは、幼稚園児の2人に1人が「足指を浮かせて生活している」=「足指を使って歩いていない」ことを意味しています。』!!驚きの数字じゃありませんか?これは、幼い子を持つ親御さんは、真剣にお子さんの足と向き合わなければいけないですよね。
古屋先生の研究所には、幼稚園の頃から運動を続けている小、中、高校生も沢山来院しているそうです。だとすると、足の変形の原因は、運動不足ではないはずですし、昔と違って、現代の子どもの靴はひもやベルトで足をホールドできて、地面からの衝撃を吸収する素材で靴底が作られていますから、靴が原因とも言えないはず。それならば、やはり真の原因は、足指に体重を乗せて歩いていない、ペタペタ歩き、ということになるそうです。
さて、ペタペタ歩きとは、どんな歩き方なのでしょうか?『スキューバダイビングのフィン(足ひれ)を着けたまま地上をペタペタ歩いているのと同じイメージで、別名「ペンギン歩き」』なるほど。気をつけなければならないのは、外反母趾の人が、正しい歩き方を実践しようと、かかとから接地することを意識していても、それから先の、足指までしっかり体重を移動させることが出来ていないと、体重が足指のつけ根で止まってしまい、かえって体に悪影響を及ぼす場合もあるそうです。中でも、高齢者がこのような歩き方をすると、『変形性膝関節症』になりやすいんだとか。要注意ですね。
話を子どもの足に戻して、なぜペタペタ歩きになってしまうのか、ですが、生活環境の違いが大きな要因で、次に考えられるのは、遺伝だそうです。先生が診てきた多くの外反母趾の方の中で、ペタペタ歩きをしている3分の1前後が、親の歩き方が子どもに遺伝しているのではないかと考えているそうです。先生は、外反母趾そのものが遺伝するのではなく、ペタペタ歩きが遺伝した結果、外反母趾になってしまったのではないかと考えているそうです。あなたのご両親の足は、いかがですか?
子どもをペタペタ歩きにしないためには、3、4歳頃に、親御さんが子どもの足に注意を払って、しっかり足指を使って歩いているかを気をつけてあげなければいけないそうです。そして、子どもの足の機能が、大人とほぼ同じように整うのは6歳~8歳頃なので、それまでに足指を使った歩き方が、自然にできるようになるのが望ましい、とのことです。あなたのお子さんが、自分と同じ、外反母趾で苦しまないように、お子さんの足に注目です!
次に、古屋先生は、親御さんがチェックすべき、子どもの足の変形を説明してくれます。写真入りで、分かりやすいので、ぜひお子さんを呼んで、素足になってもらい、チェックしてみてください。私が、そうそう!そうなのよ!と思わず膝を打ちそうになったのが、浮き指のチェックのところです。『浮き指の子どもは、足が成長して大きくなっても、足指を浮かして指先が靴に当たらないように対応してしまうので、サイズの合っていない靴を長期間履くことになり、さらにその症状を悪化させてしまいます。』これは、私は経験者です。靴が全然痛んでいないのに、買いかえて、と言い出しにくく、暫くの間、指を上げて我慢していた事がありました。今となっては、そんなこと、健気でも何でもなく、足のために最悪なんだとわかりますが、子どもって、妙なところで気を回したりしますよね。だからお母さん、自分が外反母趾でなくても、お子さんの足や靴に、気を配ってあげてください。
子どもの足と歩き方のチェック法の番外編として、外反扁平足などについても語られています。外反扁平足は、アキレス腱が外側に『く』の字に変形しているかをチェックするそうですが、もしもくの字になっていたら、かかとの骨が内側に傾いている状態なのだそうです。これは先天的なもので、先生のお嬢さんも、2歳の頃に判明したのだとか。骨の変形は治せなくても、ペタペタ歩きを改善すれば、外反母趾にはならずにすむ、と考えた先生は、幼いお嬢さんに正しい歩き方を教え始め、小学校高学年になった頃には、外反母趾とは無縁だそうですよ。幼い頃から頑張ったお嬢さんと、根気良く教えられた先生、どちらも素晴らしいですよね!
本書を読むと、お子さんの足をチェックしたくて、居ても立っても居られなくなるかもしれません。そして万が一、問題が見つかったら、先生が推奨するエクササイズを、親子で実践してみてはいかがでしょうか?