外反母趾とスポーツ
外反母趾と、長い長い付き合いを続けている私、スポーツとも、長い付き合いを続けています。現在では、外反母趾だからといって、スポーツを禁止する医師は、ほとんどいないと思いますが(手術が必要なほどの重症例を除いて)、かといって、外反母趾がスポーツのパフォーマンスを全く損なわない、と言う根拠もまた、ないと思います。今回は、外反母趾とスポーツの関係について、お話していきたいと思います。
私が一番長く続けてきたスポーツは、テニスでした。小学校中学年でコーチに付き、それからは、中学生時代は、クラブ活動、高校生から30代半ばで引退するまでは、ずっと同じテニスクラブに所属し、日夜ボールを追って、走り回っていました。
30代半ばで引退を決意したのは、片脚のひざの後ろの痛みが取れなくなってしまったからです。今から思えば、そちら側の足の外反母趾の方がひどいので、なんらかの関係があるのかもしれません。走って前進するには、それほど気になりませんでしたが、テニスは、走りつつ後進もするスポーツです。違和感がやがて痛みに変わり、そしてケアしてもなかなか取れなくなっていきました。
しかしながら、現役でテニスをしていた頃の方が、外反母趾は、さほど気にならなかったと思います。それはどうしてか?と考えてみましたら、私が常々頼りにしていた、テニスショップのオーナーの顔が浮かんできました。テニスのコーチの資格も備えた彼は、私にラケットを選んでくれるのはもちろん、ガットの張替えからシューズの選び方まで、指南してくれました。特に口を酸っぱくして言われたのが、シューズの履き方でした。コートの質から私の足の大きさまで考慮して選んでくれたシューズでしたが、履き方ひとつで台無しになるんだよ!と何度も言われたものです。
「靴は、履いたら絶対につま先でトントンやっては駄目。もしも試合相手がそんなシューズの履き方をしていたら、こっちもの!絶対に勝てるよ。靴に、足を入れたら、かかとを地面にトントンやって、足を浮かせてレース(靴ひも)をしっかり結びなさい。」
ここでピンと来たあなた、するどい!そうです!外反母趾の人に、医師やシューフィッターが勧める靴の履き方と、全く同じなんですよね。私は、このシューズの履き方を、きちんと守っていたお陰で、テニスを頑張っていた時期の、外反母趾の進行が、食い止められていたような気がします。
スポーツを頑張っていたときの方が、足の調子が良かった、と言うのは私だけではありません。外反母趾で悩む方たちに、お話を伺ったところ、幼稚園生時代から大学卒業まではバレエ団で本格的にレッスンを続け、社会人になってからは、趣味程度にバレエのレッスンを続けてきた女性がいらっしゃいました。
彼女は、「バレエなんて、脚と足、つま先を酷使する運動をずっと続けてきたけど、外反母趾なんて気にしたことはなかったです。むしろ、仕事が忙しくなって、1年半くらい前に止む無くバレエを止めたのですが、止めてから、徐々に今まで履いていた靴が合わないと感じるようになってきて、ふと気づくと、親指のつけ根が曲がり始めていたんです。そう、外反母趾になっていました。
バレエの現役時代は、足の甲や裏の筋肉を、日々鍛えていたので、足のアーチがしっかり形作られていたのに、止めてしまったせいで、アーチが崩れてきたんだと思います。また、時間に余裕が出来たら、バレエに復帰したい!」と語ってくれました。彼女がバレエに復帰したのち、外反母趾の程度が軽くなるのかどうか、とても興味がわいてきますよね。
さて、私が現在、レッスンを受けているのはヨガです。まだ始めたばかりの初心者ですが、レッスン中に、何度も外反母趾の事が頭をよぎります。ヨガは、インストラクターの先生いわく『自分のからだの状態を、自らの心の目で見ながら行なう』のですが、足の指先まで、血液や意識が行き渡るように…と、よく外反母趾の人向けに紹介されている、足指のストレッチに似たことも行なうのです。
例えば、足の指の間に、手の指を差し込み、足の指でぎゅうっと手のひらを握るようにする(私がこれを行なったところ、ヨガの翌日に、足裏が筋肉痛になりました。情けない!)ですとか、両方の足の指同士、互い違いに組み合わせ、握手をするように、ぎゅっと握る(いきなり試さないで下さい!外反母趾で開張足のあなた、足の指から裏が、高い確率で攣りますから!私は、親指から組み合わせ始めただけで、攣ってしまい、その後もしばらく治らず、ヨガどころじゃありませんでした。)ですとか…
しかし、直接的に足の指や裏を使うよりも、外反母趾の影響を感じるのは、片脚立ちのポーズをする時です。60代、70代の方々が、すっと片脚で立てているのに、40代の私は、ふらふらして、思うようにポーズが取れません。そんな時に、外反母趾の専門家の方に相談したところ、「重心がかかとに偏ってるからですよ。ついこの前も、30年以上ヨガのインストラクターをしている方が相談に来られたのですが、その方も、片脚立ちのポーズが苦手で悩んでおられましたよ。」と教えられて、目からうろこ!
そうなんです。外反母趾や開張足を少しずつ克服して、重心がきちんと土踏まずの辺りに落ち着けば、自然と片脚立ちのポーズも決まるようになるそうなのです!バランス感覚の衰えではないと分かったとたん、俄然ヨガへのやる気が高まってきた、単純な私なのでした。