外反母趾と浮き指


『地に足をつける』と聞くと、しっかりしている、とか、行動が現実的で、頼りになりそう…そんなイメージですよね。では、『足が地につかない』ではどうでしょうか?ちゃらんぽらんで、落ち着きがない、とか、行動や思考が上っ面で、いまひとつ信用できない、とか、舞い上がって、心ここにあらず、とか…そんなイメージでしょうか。それなら、『浮き足だっている』ならば、どうですか?不安や恐れなどから、落ち着きを失っている、とか、びくびくして逃げ腰になっている、とか、そんな感じですよね。

そう、足や足の指が地面から離れていると、何故かマイナスなイメージばかりを連想させるようです。不思議ですね。浮き指とか指上げ足といった症状や言葉がなかった頃から使われている言い回しでも、地面に足裏や足の指がしっかりとついていないのは、悪いことなんだ、と、昔の人たちは経験から知っていたのでしょうか?

現代では、だいぶ知られてきた『浮き指』ですが、具体的には、どんな症状が見られるのでしょうか?
…読んで字のごとく、足の指が、地面にきちんとつかないで、浮き上がっている状態です。足指のつけ根は、しっかりと地面についていても、指先は浮いているのです。自覚症状が無く、自分が浮き指だと気付かない人も多く、からだのバランスが崩れてしまったことから起きる不調が、実は浮き指が原因だとわからないで悩んでいる人も多いそうです。

浮き指になると、指先に力が入らないため、足の裏が不安定になり、からだをバランスよく支えることができなくなってしまいます。トラブルのない足の裏は、足の指、足指のつけ根、そしてかかと、の三点で体重を支えて歩行できており、重心は足の裏の真ん中になっています。けれども、浮き指になると、足指のつけ根とかかとを使った、不安定な二点歩行になってしまい、真ん中にあるはずの重心は、かかとの方にずれてしまいます。

重心がずれたままで歩き続けると、からだが倒れないように、背中を丸めたり、顔を前に出してバランスをとってしまうので、姿勢が悪くなります。すると、猫背が引き起こされて、そこからさらに、肩こりや腰痛、ひどいときにはヘルニアなどにつながってしまいます。

重心がずれた足の裏では、地面からの衝撃をきちんと吸収できず、たこやうおの目にとどまらず、足底腱膜炎(そくていけんまくえん)や外反母趾、内反小趾などを併発している人も、少なくないそうです。また、足の指に、ちゃんと圧力がかからなくなってしまうことで、巻き爪にもなりやすくなってしまいそうですよね。

それでは、何故、歩く時に指が浮いてしまうのでしょうか?主な原因としては、足の裏の筋肉の衰え、足の指の関節の衰えなどが考えられます。または、足の骨格や筋肉をバランスよく使えなくなっている状況もあるそうです。例えば、ポインテッドトウのハイヒールを長期間履いていると、一番負担がかかるのは、中足趾節関節の部分ですし、脱げやすいミュールなどを多用する人は、靴が脱げないように、無意識に足の指を持ち上げて歩いてしまいますので、必然的に浮き指に…

では、自分の足が、浮き指かどうか、チェックしてみましょう。一つは、第一趾の裏側に、たこが出来ているかどうか、です。二つめは、第三趾と第四趾の間、そして第四趾と第五趾の間(両方とも、指のつけ根部分をチェックして下さい。)この二か所にうおの目が出来ているかどうか、です。三つめは、つま先をぎゅっと丸めたときに、足の指のつけ根の下(MP関節と言います。)に、骨の突起が浮き出ているかどうかです。しっかりと突起が浮き出ている、あるいは手の指で触れてみて、骨のゴツゴツを感じられれば、浮き指の心配はないそうです。

さっそく私も靴下を脱いでチェックしてみました。なんと!MP関節の骨の突起が、右足は第四趾、左足は第三趾と第四趾がほとんど見えないではありませんか!では、触ってみた感じは、どうでしょうか?…やはり、骨の突起が見えない指の部分は、触っても、ゴツゴツは、あまり感じられません。立派な浮き指です。つまり、外反母趾を併発している浮き指ですね。

やっぱりそうだったのか…と悲しんでいる場合ではありません。浮き指の手当てや治療はあるのです。
まずは、足に負担をかけない靴を履くこと、これは外反母趾にも通じることですね。締め付け感のない、足の裏に適度にフィットする、ひも靴や、ウォーキングシューズの類ですね。
そして、足の指や足の裏を鍛える運動療法をこつこつと続けることが良いそうです。

『足指じゃんけん』は、足の指をグー、チョキ、パーと、開いたり閉じたりする運動です。それぞれ一日20回、2日に1回を目安に続けると効果があるそうです。

『タオルたぐり寄せ運動』は、大きめのタオルを床に敷いて上に立ち、指のつけ根を深く曲げる意識でタオルをたぐり寄せていきます。足の指のつけ根にあるMP関節を意識して行いましょう。この運動は、タオル一枚分だけ行えば十分だそうです。やり過ぎは禁物ですよ。

私も、この運動療法にチャレンジしてみるつもりです!