【新版 バレリーナのヘルスケア 蘆田 ひろみ 著】を読んでみました。
【新版 バレリーナのヘルスケア 蘆田 ひろみ 著】を読んでみました。
外反母趾でお悩みのあなた、世界の舞台で華麗に舞い踊るバレリーナを見て、「ああ、痛そうだ!つま先立ちで、薄っぺらいバレエシューズを履いて、あんなに高くジャンプをしたり、くるくると廻ったり…私の足では、絶対に無理!」と思ったことはありませんか?私の友人にも、長年バレエを踊ってきた人がいますが、彼女の爪が血豆で真っ黒になっているのを見たことがありますし、膝を痛めて手術をしたことも知っています。…ということは、足に悩みを持つバレリーナが多いであろうということは、想像にかたくありません。では、外反母趾を抱えるバレリーナもいるのではないでしょうか?そして、もしも存在するのなら、どのように痛みと向きあいながら、踊り続けているのでしょうか?興味津々で、調べてみましたら、有りました!バレリーナの母親を持ち、自らも幼いころからバレエに親しみ、レッスンを続けてこられたという整形外科の先生が書かれた本が!
蘆田 ひろみ先生は、母親のバレリーナの有馬 龍子さんのもとでバレエに励む一方で、医師である父親の影響を受け、整形外科医になったそうです。どうして整形外科を選んだのかと言えば、やはりバレエが好きだったから、これに尽きるようです。以前は、からだのどこかに痛みがあるときに、バレエの先生に相談しただけでは、なかなか痛みの原因までわからない、かと言って、バレエを知らない医師に診てもらうと、「痛いんだったらバレエを辞めれば」とあっさり言われていたそうです。でも、蘆田先生は『幸い私はバレエを経験しましたから、その子の痛い原因を診断したうえで、テクニックを変えれば、痛くても続けていってだいじょうぶ、ということがわかる。ですから、私の役割は、子どもたちを診て、テクニック面でのアドバイスもする、ということ。そして、バレエを踊ることで生じる故障や事例などを、ほかの整形外科の医師たちにも、もっと多く知ってもらう努力をすることかな、と思っています。』と言います。バレリーナにとって、理想的なお医者さんですよね。
本書は、悩みや痛みを持つバレリーナに問題解決の力を貸すべく、Q&A方式で書かれています。また、整形外科の先生らしく、巻頭には、骨と筋肉、からだの部位の名前が医学用語で、図入りで説明されています。「ポアント」「アン・ドゥオール」など、バレエ用語もたびたび出てきますが、聞いたことがある単語も多いですし、インターネットで検索すれば、すぐに分かるものばかりなので、素人でも安心して読めます。何しろ表紙をはじめとして、本文中にも散りばめられている、パリ・オペラ座バレエ学校の生徒たちの写真が美しいこと!うっとりと読み進められますよ。
一番はじめの項目『バレエは何才から始めるのがいい?』では、将来、娘をバレリーナにしたいというお母さんたちに、ちょっとブレーキをかける内容になっています。先生は、整形外科医の視点から、子どもの骨から12〜13才の児童の骨への成長過程を図入りで説明し、子どもの骨には軟骨が多く、大きな力を加えると傷ついたり、変形したりすることがあると警告します。傷つくとは、具体的には剥離骨折を起こしてしまうケースもあるそうです。『5才でトウシューズを履くのは、すすめられません。』先生は、外反母趾には言及していませんが、骨の変形というからには、外反母趾につながる場合もあるかもしれませんね。そして、この話はバレエだけにとどまらず、他のスポーツにも共通して言えることでは?幼いころから、痛みが起こるほど厳しい練習を強いるスポーツをさせることは、我が子の足の健康には、良くないのではないでしょうか?
長時間のレッスンのために、足のトラブルを起こしてしまった子どもの例は、『レッスンは何時間くらいするのがいい?』の項目で述べられています。『小学生期にポアント(トウシューズで、つま先で立った状態)のレッスンをやりすぎたため、足の親ゆびの軟骨が変形してしまった例もあります。ストレッチでさえ充分に考えて行うべきです。』子どもの骨の繊細さが良く分かります。
そして、お待ちかね『バレエで外反母趾になる?』の項目ですが、やはり、バレエのせいで外反母趾になったと診察にくる人がいるそうです。が、『バレエのレッスンでは足底の筋肉をきたえるので、かえって予防になっているんです。』ですって!バレエのレッスンで『足の裏の筋肉が発達して、足の裏の皮ふも軟部組織もよく発達していれば、ハイヒールを長時間はこうが、トウシューズで何時間レッスンしようが、まったく痛みは起こらないのです。』私の予想とは真逆の答えでした。『足の筋肉が発達してゆく学齢期に、こういう訓練(トウシューズのレッスン)をするということは、外反母趾にならないための一生ものの訓練でもあります。』
あぁ‼小さいときに、バレエのお稽古に通えば良かった!と思ったのは、私だけではないはずです。お嬢さんの習い事を決めかねているあなた、将来、外反母趾で悩まない女性に育てるなら、バレエがイチ押しですよ!