【かんたんストレッチで外反母趾・巻き爪が治る本 1日5分で痛みが消える! 山田 光敏 著】を読んでみました。
ストレッチで!?外反母趾が治るの!?しかも1日たったの5分で痛みが消えるなんて。しかも、テーピングや装具は一切使わないんですよ。本当に、そんなことが可能なんでしょうか?
著者の山田 光敏さんは、鍼灸マッサージ師であり、ケアマネジャーでもあります。そして、施術の傍ら、大学のオープンカレッジや医療専門学校で、解剖学やストレッチなどを教える人気講師です。
本書も、解剖学の視点から、外反母趾・巻き爪を語っています。ですから、外反母趾を語る書籍には、今まであまり登場しなかった言葉『ウィンドラス(巻き上げ)機構』『載距突起(さいきょとっき)』等々や、考え方がつづられていて、とても新鮮な気持ちで読むことができると思います。
まず新鮮なのが『HV角』と『IM角』を測ることができる『簡易版 足の形セルフチェック』がほぼ巻頭におかれているところです。これは、外反母趾(内反小趾も可)が、どの程度進行しているかを、自分でチェックできるのですが、IM角にもスポットを当てているのは、大変珍しいと思います。IM角とは何ぞや?と思ったあなたは、本書を読むことをお勧めします。そして、このセルフチェックは、是非なさってみてくださいね。ちなみに、私もチェックしてみましたが、御多分に洩れず、立派な中程度の外反母趾でした(悲)。
山田先生は、『足にかかる重力の対策を行うことが、外反母趾や巻き爪などの足のトラブルを解消するポイント』であると言います。『重力』とはまた、スケールの大きなお話ではないですか?でも、読み進めると、それが決して突拍子もない説ではないことがわかってきます。『物体は重力の影響を受けたときに、"抗重力"という重力に抗する力が生まれます。この時に、抗重力の生じるもととなる足の内部には、"応力"という力が生じており、この力が体形や足の形をつくりだすのです。外反母趾や巻き爪は、この応力が正しい方向に向かわないことによって起こるのです。』
なるほど!私は、まさに目からうろこが落ちる思いでした。単なる歩き方のくせとか、そういう次元ではなく、もっと広い視野で考えなくてはいけなかったんですね。だって、重力ですよ。でも、山田先生は、外反母趾は重力に対して十分に抗することができなかったから起こる、という場合もありますが、ほとんどの場合は、重力に抗することができなくなったのではなく、抗し方に問題が起きてトラブルが生まれた、と考えているそうです。…確かに。
そして、話題は、メインテーマであるストレッチの方法に移る前に、より効果的なケアができるように、足の構造の説明と、自分の足の歪みの自己診断のやり方に入ります。ひとつご忠告!いくら、外反母趾の痛みから一刻も早く開放されたいと思っても、いきなりストレッチの方法から読み始めず、必ず最初から順を追って読んでいって下さいね。そうでないと、効果があるどころか、逆に痛みが増してしまったり、関節を痛めてしまったりすることになりかねません。
自分の足の歪みの状態が把握できたところで、どのマッサージやストレッチを重点的に行えば良いか、がひと目でわかる表の登場です。この表は、保存版ですね。拡大コピーをして、洗面所や寝室に貼っておきたくなります。何故そのような場所に?と思われますか?山田先生は、マッサージやストレッチを行なうのは、夜、入浴後またはベッドに入る前、を勧めているからです。『せっかく時間をかけて歪みや緊張を解消したりしても、すぐに立ち上がって動き回ったり、足に負担をかけてしまっては、あまり意味がありません。』…納得でしょう?
マッサージやストレッチの力の加え方や、続ける期間、続けても症状の緩和がみられない場合、等々についても、詳細に語られていますので、読み込んだうえで、チャレンジしてみてくださいね。
巻末には、山田先生が推奨するフットケア、ストレッチで、ここまで良くなった、という体験談が5人分掲載されています。これらを読むと、マッサージやストレッチをやってみたい、という気持ちがふつふつと湧いてきます。巻き爪の矯正手術を受けたのに、再発して、しかも外反母趾まで併発して苦しんでおられた方が 、先生の指導のもと、土踏まずを作るストレッチと、足首を安定させるストレッチ、外反母趾と巻き爪のマッサージを毎日寝る前に行ったところ、2週間で巻き爪の痛みが取れ、外反母趾も心なしか良くなったそうなのです。すごくないですか?
私も、自分に必要なマッサージとストレッチをピックアップして、『飽き』と『慣れ』(本書で語られる慣れとは、外からの刺激が続くと、次第にその刺激に対する反応が鈍くなる、人のからだの機能のことです。)を上手にコントロールしながら、まさに自分の手で、外反母趾を治していきたいと思いました。